これから新しい事業やお店などを開業される方や、事業の維持などでお困りの方が多いと思います。

これから事業を立ち上げる場合などは、自らお金を貯蓄されている方も多いと思いますが、すべての資金を自己資金から補うことは難しく、一定の資金は外部から調達することが多いはずです。

しかし、民間の金融機関では事業実績がなく、信用も低い申込者に対して融資してくれない場合が多いです。特に、全国展開しているメガバンクと言われているの都市銀行や、地方中心に営業している銀行など、多くの銀行は返済能力がある方や見込める方を見極めて、返済してもらい利益を追求していく方針ですので、新規事業は厳しいと言えます。

事業資金などを銀行から借りる「銀行融資」では、2期や3期分の複数年の決算書や、個人でも複数年の確定申告書の提出が必要です。この時点で新規開業を考えている方では、決算書や確定申告書がないので利用できません。

ですが、政府系金融機関である『日本政策金融公庫』は、返済してもらうことも大事ですが、やはり産業の発展や雇用の拡大など、国のためになることには積極的に融資してくれます。

しかしながら、しっかりとした事業計画や返済計画などがないと、融資してくれなく事も多いですので、しっかりと準備しましょう。

日本政策金融公庫の種類の多い資金調達方法

資金を調達する上で、日本政策金融公庫を利用する方は多いです。その中でも中小企業や間もない新規事業とは限らず、多くの企業で貸し付けてもらっているのが、『普通貸付』と言うものです。

普通貸付の概要
資金使途運転資金設備資金特定設備資金
限度額4,800万円7,200万円
返済期間5年以内(うち据置期間は1年以内)10年以内(うち据置期間は2年以内)20年以内(うち据置期間は2年以内)

融資額の上限は4,800万円(特別設備資金:7,200万円)と多くて魅力的で、ほとんどの中小企業の資金調達はまかなえるはずです。

しかし、この普通貸付は担保を必要とする場合が殆どですので、新規開業する場合など担保を用意する事が難しいです。担保や返済期間のことは相談することが出来ますが、無担保になると金利が多少ですが高くなってしまうことになります。

新規開業に適した資金調達

日本政策金融公庫の商品の中でも、新規開業や若者・女性・シニアに向けた貸し付ける範囲を限定して、借りやすいようにしている創業時向けの融資を用意しています。

  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家支援資金
  • 再チャレンジ支援融資
  • 創業支援貸付利率特例制度

新規開業資金

新規開業資金の詳細
項目内容
利用可能な方
  • 現在勤務する企業と同業種事業を始められる方で、いづれかに該当する方
    • 現在勤務する企業に6年以上継続勤務されている
    • 現在勤務する企業と同業種に通算6年以上勤務されている
  • 大学などで修得した技能に関係する職種に2年以上勤務で、同業種事業を始める方
  • 技術やサービスなど工夫を加え多様ニーズに対応する事業を始める方
  • 雇用創出を伴う事業を始める方
  • 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方
  • 地域創業促進支援事業の支援で事業を始める方
  • 公庫が参加する地域の創業支援ネットワークからの支援で事業を始める方
  • 民間金融機関と公庫の協力融資で事業を始める方<//li>
  • 上記のいずれかで事業を始める方で、事業開始7年以内の方
資金使途運転資金設備資金
限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円以内)
返済期間
(うち据置期間)
7年以内(2年以内)20年以内(2年以内)
担保・保証人相談可能

新規開業資金は名前のとおりで、新たに事業を始められる方がメインとなっている融資方法になっています。

今までにされている仕事とは、全く違う業種の場合は、融資されづらい新規開業資金ですが、開業時だけでなく、開業されてから7年以内であれば融資が認められているので、まだまだ開業して間もない時の運転資金などで検討しても良いかもしれません。

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性、若者/シニア起業家支援資金の詳細
項目内容
利用可能な方女性または30歳未満か55歳以上の方で新たに事業を始める方、事業開始後7年以内の方
資金使途運転資金設備資金
限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円以内)
返済期間
(うち据置期間)
7年以内(2年以内)20年以内(2年以内)
担保・保証人相談可能

事業を始められる方の融資先が「女性」や「30歳未満の若者」「55歳以上のシニア」限定に限られているのが「女性、若者/シニア起業家支援資金」となっています。

融資する対象は新規開業資金とは違っていますが、融資される限度額や返済期間の内容には違いはありません。

再チャレンジ支援融資(再挑戦支援融資)

再チャレンジ支援融資の詳細
項目内容
利用可能な方新たに事業を始める、または事業開始7年以内の方で、下記内容にすべて該当する方

  • 廃業歴あり
  • 廃業時の負債が新規事業に影響を与えない程度に整理されている
  • 廃業理由や事情がやむを得ないもの
資金使途新規事業時や開業後に必要になる資金
限度額7,200万円(うち運転資金4,800万円以内)
返済期間
(うち据置期間)
7年以内(2年以内)20年以内(2年以内)
担保・保証人相談可能

廃業歴のある方への融資として「再チャレンジ支援融資」があり、廃業された方が新規事業を開業する時に融資されるものです。内容は他の新規開業資金などとは変わりはありません。

廃業歴などの利用対象の内容ですが、非常に曖昧な表現で、どのような方が「再チャレンジ支援融資」を受けやすいのでしょうか?

  • 自己破産で免責許可が出た方
  • 民事再生や個人再生で債務を大幅に改善された方
  • 過去の負債を完済見込みまで来ている方

事業を借金なしに廃業されている方であれば、他の融資方法でも新規開業資金を集める方法は、いくつもありますが、過去の事業廃業に伴って、自己破産や民事再生された方で、負債を大幅にカットされた方などは、再チャレンジ支援融資を受けやすくなっています。

新規事業に影響を与えない程度と記載されているように、過去の負債がそのまま完済できないような状態で残っているのであれば、融資の見込みは非常に低くなってしまいます。

自己破産などをされた方は、新規事業に必要な資金を集める手段は、一般的な方と比べても狭き門になってしまうため、そのような金融事故を起こされた方を支援するのが「再チャレンジ支援融資」となっています。

現在で事業を成功されている方でも、失敗してきた事業はいくつもある方は多く、初めからの事業がうまく成功するのは低い確率とも言えます。

しかし、何度も事業を失敗している方を助けるための融資方法ではなく、再挑戦される方のを応援するための融資ですので、何度も自己破産が免責されるとは限りません。

原則無担保・無保証の「新創業融資制度」

新創業融資制度の詳細
項目内容
利用可能な方すべての要件を満たす方

  • 【創業の要件】
    新たに事業をされる方、事業開始後納税申告2期終えていない方
  • 【雇用創出などの要件】
    「雇用創出を伴う事業を始める方」「現在勤務企業と同業種の事業を始める方」「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方」または「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」などの一定の要件に該当する方(既に事業を始めている場合は、事業開始時に一定の要件に該当した方)なお本制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回の融資分も含む)の方については、本要件を満たすものとします。
  • 【自己資金要件】
    新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用予定の資金)を確認できる方(「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認知特定創業支援事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たす)
資金使途新規開業時や事業開始後に必要になる事業資金
限度額3,000万円(うち運転資金1,500万円以内)
返済期間各種融資制度で定める返済期間以内
担保・保証人原則不要
対象の融資制度
  • 新規開業資金
  • 女性、若者/シニア起業家資金
  • 再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)
  • 新事業活動促進資金
  • 食品貸付
  • 生活衛生貸付(一般貸付、振興事業貸付および生活衛生新企業育成資金に限る)
  • 普通貸付(食品貸付または生活衛生貸付(一般貸付)の対象となる方が必要とする運転資金に限る)
  • 企業活力強化資金
  • IT資金
  • 海外展開・事業再編資金
  • 地域活性化・雇用促進資金
  • 事業承継・集約・活性化支援資金
  • ソーシャルビジネス支援資金
  • 環境・エネルギー対策資金
  • 社会環境対応施設整備資金
  • 企業再建資金(第二会社方式再建関連に限る)

他の融資制度では開業から7年ほど経っていても、融資できる対象の範囲内であったので、ある程度新規事業から経過しても借り入れが認められていました。

ですが、新創業融資制度では、税務申告がまだ2期分終えてない方で、必要資金の10分の1以上は自己資金で用意できる方に限り、開業後間もない方に限り融資対象としている制度になります。

ですが、無担保・保証人なしで3,000万円(運転資金1,500万円)まで融資してもらう事が出来る制度で、担保を用意しづらい新規事業者でも利用しやすいようになっています。

さらに、他の融資制度では、自己資金の2倍程度までしか限度額が認められないケースが多い中、新創業融資制度では融資される限度額の10分の1以上の自己資金があれば良いので、自己資金の少ない新規事業者でも利用しやすいと言えます。

範囲が限定的になる為、借り入れできる方は限定されますが、本当にこれから開業しようと思う方などには、検討した方が良い制度だと思います。

余裕をもって申し込みをしましょう

事業資金に限らず、日本政策金融公庫などの融資にはかなりの時間がかかることは覚えておいてください。
だいたい3週間から1ヶ月ほどは、申し込みから融資されるまでの期間があります。

開業される日程が決まっている方や、運転資金がうまく回りづらくなっていると気づいた時には、早めに検討される方が良いでしょう。

それほど大きな運転資金が必要なときなどであれば、「AGビジネスサポート」などのビジネスローンを検討されても良いかもしれません。