借金が一本化できるおまとめローンは返済が楽になるから得って聞くけど本当なの?
こんな疑問を持っている多重債務になってしまった人はいませんか?
確かにおまとめローンをすれば金利が下がり利息を減らせる場合もありますが、稀に支払総額が増えてしまうケースもあります。
それだったら債務整理をしないといけないの?なんか難しそうで。
法律が関係してくる債務整理を敬遠する人は多く、弁護士に相談すると大事になりそうだと思ってしまいますよね。
おまとめローンと債務整理のメリットとデメリットを比較
おまとめローンと債務整理のどっちを利用するか検討される人が多いので、簡単な比較表を下にまとめました。
おまとめローン | 債務整理 | |
---|---|---|
費用 | 手続き無料 |
|
減額の幅 | 利息のみで少ない(支払い利息が増える場合もあり) | 債務整理の種類によって「利息のみ」「元金一部」「元金すべて免責」とある |
督促 | 返済が遅れ督促状が届く状態では審査に通らない | 弁護士に依頼すると督促状は止まる |
信用情報のキズ | なし |
|
官報 | 載らない | 個人再生・自己破産は載る |
財産の処分 | 必要ない | 自己破産のみ一部を除き処分する |
おまとめローンと債務整理を一緒のように考えてしまう人もいますが、ほとんどの項目で違いがあり、どっちを選ぶかは慎重に選ばなければいけません。
債務整理は費用が発生する
おまとめローンを利用する時は消費者金融や銀行に「おまとめローンを利用したい」とお願いをして申込をするだけで、あとは審査に通るか落ちるかを待つだけなので費用は発生しません。
しかし、債務整理をする場合は特定調停を除き弁護士に相談するのが一般的で、債務問題の解決に向けて働いてくれます。なので、相談費用や着手金、解決したときの報酬金を支払うことになります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
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相談料 | 30分5,000円ほど(メール・電話相談は無料の場合あり) | ||
着手金(1社あたり) | 3万円前後 | 40万円前後 | 30万円前後※ |
減額報酬金 |
| ー | ー |
報酬金 | ー | 20万円前後 | 30万円前後※ |
その他の費用 | 2万円ほど |
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※自己破産の着手金と成果報酬は分けて支払う場合や、着手金として請求したり成果報酬として取る場合に分かれます。
費用が発生しないおまとめローンに対して債務整理は、任意整理で数万円で個人再生や自己破産になると50万円以上の必要が必要になります。
おまとめローンは「利息のみ」で債務整理は「借入元金も減額」できる
おまとめローンは1社で借り入れる金額が増えるので金利が下がり、金利が下がったおかげで利息が減るメリットに繋がります。
しかし、金利が下がってもおまとめ前より返済期間が長くなってしまうと、支払う利息総額が増えるケースも多くあります。詳しくは「おまとめローンの6つのメリットと3つのデメリット~絶対に知っておきたい注意点」で解説しています。
一方の債務整理は、申し立てる種類によって減額できるお金に違いがあり、次のような減額内容になります。
- 任意整理
- 未払い利息
- 将来発生する利息
- 遅延損害金
- 個人再生
- 元金(最大10分の1まで減額)
- 未払い利息
- 将来発生する利息
- 遅延損害金
- 自己破産
- 免責が認められると全額
債務整理は将来発生する利息だけでなく、支払いが遅れている利息や追加で発生している遅延損害金も免除になります。
返済がすでに困難になっている債務者なので、債権者も元金だけでも返済してほしいという気持ちがあり応じてくれます。
さらに、個人再生であれば元金の大幅な減額や自己破産はすべての債務を免除できます。
督促状を止めるのは債務整理しかできない
返済が長期で遅れてしまうと自宅へ督促状が届いてしまいます。
督促状が届いてから焦っておまとめローンを申し込んでも審査に通ることは困難です。
理由として、督促状が届くのは2週間~1ヶ月ほど返済が遅れてからですが、返済が2ヶ月以上遅れてしまうと異動情報として信用情報にキズが付き審査に通らなくなります。
おまとめローンを申し込んでも督促状を止めることはできません。
債務整理の場合は、弁護士に債務整理のいずれかを依頼し弁護士が債権者に「受任通知」を送り受け取った時点で、督促状を送ることは禁止されます。
おまとめローンは信用情報にキズは付かない
信用情報のキズは、返済をすることが困難になった時に法的手段によって解決した場合、その記録が信用情報機関に残ることを言います。皆さんがよく知る「ブラックリスト入り」です。
おまとめローンは法的手段ではなく、消費者金融や銀行が融資をまとめても良いと判断したときに貸し付けを行うだけなので、信用情報にキズは付きません。
一方で債務整理は法的手段になるので、任意整理でも自己破産でも信用情報にキズが残ります。
官報に載るのは「個人再生」と「自己破産」だけ
官報は国が発行する新聞みたいなもので、政府や省庁の決定事項などを載せるものなのですが、その官報に個人再生と自己破産も載るようになっています。
個人再生や自己破産は、裁判所を介して出させる決定事項なので官報に載るといえますが、最も重要になるのが「債権者保護」になります。
すべての債権者に対して適切に処理されたことを公告する必要があり、債権者漏れが無いようにしています。
任意整理は債権者と債務者の間で交渉を重ねるので、それぞれの債権者を平等に扱う必要がないので官報には載りません。
当たり前ですが、おまとめローンは裁判所を介さないですし債権者を平等に扱う必要もないので載りません。
自己破産だけが財産を処分する必要がある
おまとめローンする時は返済能力だけを審査されるので、今持っている財産を処分するように言われることはありません。もちろん返済するために多少の財産を売ることはあるかもしれません。
債務整理の任意整理と個人再生もおまとめローンと同じで、財産の処分を考えずに返済できる計画を立てて手続きを進めます。
自己破産だけが債務を全額免除する代わりではありませんが、手元に残る財産を一部残して、他の財産は処分することになっています。
例えば「99万円までの現金」「20万円までの預貯金額」などが残せる財産になります。
おまとめローンと債務整理のどっちが結局良いの?
おまとめローンと債務整理の違いを比較しましたが、「こんな時はおまろめローンがお得」「あの場面では債務整理の方が良い」など状況でどっちが良いのか分かれます。
- 現状で返済計画が立てられる人は「おまとめローン」
- 借金総額が200万円未満なら「おまとめローン」か「任意整理」
- 元金の大幅減額で3年間で返済できる人は「個人再生」
- 減額をしても自力で返済できない人は「自己破産」
返済計画が立てられる人は「おまとめローン」がおすすめ
多重債務で返済に困っている人でも、現状の「安定した収入」があり返済計画を立てられるならおまとめローンで、借金の一本化をするのがおすすめです。
おまとめローンをすれば支払総額は増えるかもしれませんが、信用情報にキズが付かずに毎月の最少返済額は少なくなります。
任意整理は利息がカットされますが、任意整理をしてしまうと3年~5年間で完済する返済計画になり、毎月の返済額が増えるケースが多いです。
借金200万円未満は「おまとめローン」か「任意整理」がおすすめ
おまとめローンか債務整理の目安を借金額で決めるのは難しいですが、多重債務としては少額になる200万円未満であれば「おまとめローン」か債務整理の中でも「任意整理」がおすすめになります。
債務整理でも個人再生の方が借金を大幅に減額できる可能性がありますが、借金を最低限減らせる金額「最低弁済額」は100万円までになっています。
任意整理よりも個人再生の方が申立手続きにかかる費用や弁護士費用が高額になり、減額できる借金と変わらないと意味がないです。
おまとめローンか任意整理で悩む人は多く難しい選択ですが、信用情報にキズが付いても利息をすべてカットし元金返済をしていきたい人は「任意整理」が良いでしょう。
自力返済が困難でも元金の大幅減で完済できる人は「個人再生」がおすすめ
借入総額が高額になり今の収入では返済が困難と判断できる人は「個人再生」が良いと思います。
総支払額を減額できるのは任意整理と個人再生は一緒ですが、減額幅は元金も対象になる個人再生の方が大きくなります。
借金総額 | 最低弁済額の基準 |
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100万円未満 | 減額はない |
100万円~500万円以下 | 100万円 |
500万円超~1,500万円以下 | 借金総額5分の1 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 300万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 | 借金総額10分の1 |
個人の借金であれば1,500万円以下の人が多いので、減額された債務「100万円~300万円」を3年間で完済できる返済能力があれば良いです。
さらに住宅ローンがあっても住宅を処分する必要はなく、家に住みながら住宅ローン以外の借金を減額できるので生活への影響が少ないです。
借金減額だけでは完済は完全に無理な人は自己破産を選択する
自己破産以外のおまとめローンや債務整理は、それぞれ形は違いますが完済に向けて今の収入で返済をしていきます。
収入が大幅に減り借金を大幅に減額しても完済できる見込みが完全にない人は、自己破産を選択する必要があります。
自己破産することで最低限の財産以外は手放しますが、借金ゼロから人生をリスタートできるのは自己破産しかありません。
自己破産まで考えるのは最終手段なので、弁護士と相談して個人再生が良いのか自己破産するべきか考えた方が良いです。