個人事業主や中小企業の代表者であれば一度は聞いたことがあるはずの「日本政策金融公庫」。
お金を借りるときに「銀行から借りるものだ」と考えている事業主も多いですが、日本政策金融公庫で借りた方が良いメリットが多くあります。
「そもそも日本政策金融公庫って何?」
「どんなメリットがあるの?」
上のように思う事業主さんはいませんか。分かりやすくメリットを解説しながらデメリットも合わせて紹介し、日本政策金融公庫が向いている人はどんな事業主の方なのでしょうか?
日本政策金融公庫とは?
以前に
国民生活金融公庫は現在は無く、他の3つの政策金融機関と2008年(平成20年)の統廃合によって現在の日本政策金融公庫が誕生しました。
- 国民生活金融公庫
- 中小企業金融公庫
- 農林漁業金融公庫
- 国際協力銀行の一部「国際金融部門」
日本政府が100%出資の金融機関として出来たのが日本政策金融公庫で、日本政策金融公庫は株式会社で政府がすべての株を保有しています。
その株式保有は財務省がほとんどを持っているので、日本政策金融公庫は財務省所管の会社といえます。
じゃあ、どんな融資を行っているの?
まずは日本政策金融公庫の基本理念や経営理念を見てみましょう。
国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ、社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施する。
引用元: 基本理念(1)政策金融の的確な実施
民業圧迫をしてはいけませんので、民間金融機関が融資しづらい融資対象には積極的に行う姿勢なのが日本政策金融公庫です。
融資対象が幅広いのが特徴
色々な政策金融機関が1つになったという事で幅広い事業に融資をしてくれます。
業務内容 | |
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国民生活事業 |
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中小企業事業 |
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農林水産事業 |
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融資対象が幅広く一般向けから様々な分野や事業まであるので、日本政策金融公庫で借りられない融資はないと思うぐらいです。
日本政策金融公庫のメリット
色々な分野に融資してくれる日本政策金融公庫ですが、実際に借りるときのメリットはいくつかあります。
- 金利が低い
- 借りやすい
- 無担保・無保証の融資もある
- 信用がつく
- 事業計画や融資のアドバイスが受けられる
金利がとにかく低い
日本政策金融公庫は完全な利益追求の金融機関ではありませんので、とにかく金利が低いです。
融資される事業や内容によって金利は変わりますが、金利が高い融資制度でも2.5%前後、金利が低い場合は1.5%を下回る融資制度もあります。
消費者金融の金利は3%台〜18%になっている場合が多く、消費者金融の下限金利の3%台も下回っているのが分かります。
金利 | |
---|---|
プロミス | 年4.5%〜17.8% |
アコム | 年3.0%〜18.0% |
アイフル | 年3.0%〜18.0% |
SMBCモビット | 年3.0%〜18.0% |
みずほ銀行 | 年2.0%〜14.0% |
三井住友銀行 | 年4.0%〜14.5% |
三菱UFJ銀行「バンクイック」 | 年1.4%〜年14.6% |
楽天銀行「スーパーローン」 | 年1.9%〜14.5% |
イオン銀行 | 年3.8%〜13.8% |
住信SBIネット銀行「Mr.カードローン」 | 年1.59%〜14.79% |
auじぶん銀行 | 年1.48%〜17.5% |
オリックス銀行 | 年1.7%〜17.8% |
金利が低い「銀行カードローン」ですが、銀行カードローンの下限金利は日本政策金融公庫とさほど変わらない1%台〜2%台ですが、上限金利は14%ほどになり消費者金融よりは低いですが、日本政策金融公庫よりは高くなってしまします。
金利は数%変わるだけで利息は大きく変わるので、10%以上も金利が低くなるのは日本政策金融公庫を利用される最大のメリットと言えます。
業務内容にある教育ローンを例に民間の銀行と比較しても、銀行の無担保の教育ローンの金利は3.5%前後で変動金利となっているのが殆どです。日本政策金融公庫は2019年9月時点では年1.71%の固定金利です。
お金を借りることは、現在手持ち資金では足りない場合に、大きな資金を調達することになるので、なるべく金利を低くすることで、今後の事業運営や子どもの将来のために、支払う利息を減らすことが出来ます。
「開業間もない」「民間で審査落ちした」人でも借りやすい
民間の金融機関の審査はこれまでの事業の成績や実績を対象として返済能力を見るので、今から新規で事業を始める人への融資は基本的にかなり難しいです。
銀行や消費者金融で事業資金を融資してもらうには、そもそも決算書や確定申告書を2期〜3期分用意する必要があるのがあります。
新規事業や経営期間がまだまだ短い事業主などは収入面で不安定要素が大きく、貸付を行ったにも関わらず事業がうまくいかずに返済されない自体になるかもしれないと判断します。やはり、長期的に運営されている個人事業主や、会社の規模が大きなところへ貸付される場合が多いのが銀行などになります。
ですが、日本政策金融公庫は融資制度の種類は豊富で、制度の中には新規開業資金や新創業融資制度などのこれから新たに開業する場合でも、融資されやすいような貸付条件があります。
日本政策金融公庫も融資したお金は返済してもらいますが、民間と考え方が違い経営理念を見ると分かります。
イ 雇用の維持・創出など地域経済を支える中小企業・小規模事業者及び農林漁業者等の活力発揮に向けた支援を推進する。
ロ 地方自治体の総合戦略等の地域プロジェクトへの参画など、日本公庫の総合力を発揮し、地域の活性化に貢献する。
ハ 地域に根ざした活動を展開し、地域社会への貢献に取組む。
日本政策金融公庫の基本理念と経営方針を見てみると、銀行など民間金融機関が補えない部分の融資などに積極的に融資を行い、中小企業などの社会的にまだまだ成長途中である企業も融資対象になっています。
地域に根付く企業が成長すれば、雇用も生まれて、融資したことによって、地域活性化につながるというわけです。
無担保で保証人なしでも高額融資が借りられる
銀行融資で高額になると保証人や担保を入れないと融資してもらいにくく、プロパー融資はかなりの優良企業だけが受けられる融資です。
ですが、日本政策金融公庫の中にある「新創業融資制度」は、無担保・保証人なしで3,000万円まで融資してくれる制度があります。
すべての申込者が受けれる融資ではありませんが、申込条件に合う事業主であれば民間では見ることの出来ない大変魅力的な資金の調達手段だと思います。
担保を準備しにくい新規事業主にはうれしい融資制度だと思います。
信用が付くので民間金融機関から借りやすくなる
次のような疑問を抱く人もいるはずです。
お金を借りて信用が付くの?
日本政策金融公庫からお金を借りただけで信用は付きませんが、事業も順調に進み借りたお金を遅れることなく返済していると、良いクレジットヒストリーを作ることが出来るので民間金融機関への信用度は高くなります。
元々は民間から借りられないお金でしたが、企業として良いクレジットヒストリーがあれば、次に融資が必要な時に身近な金融機関から融資が受けやすくなります。
事業計画や融資に関してアドバイスが受けられる
融資のアドバイスは分かるけど、事業計画についてもアドバイスされるの?
銀行などが融資に関するアドバイスはあると思いますが、事業計画や今後の展開はアドバイスはあまりありません。
しかし、日本政策金融公庫の経営方針には「お客さまサービスの向上」があります。
イ お客さまの立場に立って親身に応対し、身近で頼りになる存在を目指す。
ロ 政策金融の役割を十分に理解し制度を適切に運用するとともに、コンサルティング機能・能力の充実を図
ることでサービスの質を向上し、資金と情報を活用することにより、政策金融を必要とするさまざまなお客
さまのニーズに迅速かつ的確に対応する。
(イ)にある「親身に応対し身近で頼りになる存在」とあるように、困ったときに相談しやすい体制を整えています。あと、コンサルティング機能も備えており、全国152支店で創業サポートデスクで事業計画の相談なども受け付けています。
日本政策金融公庫のデメリット
日本政策金融公庫の融資はメリットばかりではありません。
日本政策金融公庫だけに限ったわけではありませんが、融資を申し込む際に担当者から事業計画や返済計画を聞かれ、詳しくしっかりとした説明をしなければいけません。事業を行うわけですから、説明出来上にような事業では、成功しないものと思ったほうがいいです。
審査期間が長く融資開始まで時間がかかる
日本政策金融公庫でお金を借りる場合には、実際に融資までにかなりの時間をかかります。
消費者金融であれば申込当日に借り入れ出来る即日融資が可能です。銀行カードローンも、申込当日から数日間~1週間で借りることが出来ます。
しかし、無担保カードローンは金利も高く比較的審査は甘いと言えます。さらに、カードローンの使用用途は自由とされていますが、銀行カードローンである場合に、事業目的には使うことは出来ないようになっています。ですので、勤め先の給料などが主な返済能力となるためです。
日本政策金融公庫は、審査期間が2~3週間以上は必要で、融資されるまで1ヶ月ほど時間が必要になります。
「事業計画は妥当なものか」「お金の流れは大丈夫か」など通帳残高や毎月の支出や収入など隅々まで調査されるので、時間がかかるのは仕方ないです。
日本政策金融公庫で借りるのが向いている人
「誰でも日本政策金融公庫で借りれば良い」とはなかなか言えませんが、借りるのが向いている人は多くいます。
- 新規開業や2期を終えていない
- 自己資金が少ない若しくは無い
- 金利を抑えたい
- 資金調達の時間に余裕がある
開業されてからの期間が関係ない融資制度もありますが、新創業融資制度は新規事業を開始する人や税務申告を2期分終えていない事業者向けの融資で、信用度がまだ低い事業者でも借りやすいのが日本政策金融公庫なので向いていると言えます。
さらに、事業開始を考えている人でも自己資金の少なさに開業を諦めてしまう人もいますが、先ほども出てきた新創業融資制度では必要なすべての開業資金の10分の1以上の自己資金があれば融資対象になります。
あとは何と言っても、資金を必要とする期日までの時間にかなり余裕がある方になります。
日本政策金融公庫で借りるのが向いていない人
向いている人がいれば向いていない人がいるもの当然です。
- 融資期日まで時間がない
- 信用度が高い
デメリットでも出てきた審査時間が長く融資までに時間がかかってしまうので、資金が必要になる期日まで1週間もない事業者は申し込んでも期日までに借りれる可能性は非常に低いです。
信用度が高い人が日本政策金融公庫で借りれないわけではありませんが、民間の金融機関で良い条件で借りられる可能性があります。
されに、いつも利用している金融機関であれば審査時間も短く借りれるので、わざわざ日本政策金融公庫を申し込む必要はないでしょう。
早く借りたい人は即日融資が出来る消費者金融がおすすめ
日本政策金融公庫は早い融資に向いていませんが、消費者金融であれば即日融資も出来るカードローンなので、急いで借りたい人に向いています。
さらに、消費者金融は事業性資金でも借りられる特徴があります。銀行カードローンは事業性資金には使えません。
消費者金融は借りられる初回限度額はそれほど高くないですが、ある程度安定した収入があれば50万円までの審査は通りやすくなっています。
必要な事業資金が少額で即日融資で借りたい事業主であれば、消費者金融で借りるのも検討するのも良いです。