子どもが成人であろうとも未成年であろうとも、親が子どもの借金を返済する義務はありません。

子どもがカードローンなどで借金をして、何かしらの理由で返済できない状態になり、親が代わりに返済するというパターンは、テレビなどでもよく見かける光景ですよね。

ですが、実際に子どもが返済できないからと言って、親が代わりに返済しなければいけない訳ではありません

カードローンは、個人向け無担保ローンとなっており、保証人も必要ないことが特徴のローンですので、連帯保証人や保証人になることは、親でも必要ありません。

そういった場合、親だからと言って保証人でもないので返済する義務は発生しません。

もし、子どもが他の保証人が必要なローンを契約する際に、親が連帯保証人になると、返済義務は契約者と同じ内容が連帯保証人にもかかってきます。子どもの債務者が返済できないという状況は関係なく、返済を求められれば返済する必要があります。

もし連帯保証人ではなく保証人の場合は違い、まずは債務者である子どもに請求するように、債権者に言いことが出来ます。それで、返済が出来ないことが分かれば、保証人に返済義務が発生することになります。

子どもが未成年の場合の契約破棄

子どもと言っても、成人しているお子さんから未成年の方までいます。ひとり暮らしなどで未成年の子どもと離れて暮らされることも多いと思いますが、知らない間に借金を作らないかと思う親御さんも多いです。

もし、未成年の子どもが契約を交して借金を作ってしまった場合でも、親が契約を認めなければ、その契約を破棄することが出来るようになっています。

民法の民法第5条第1項(未成年者の法律行為)に、しっかりと記載されています。

未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

引用:民法 第5条の1「未成年者の法律行為」

未成年というのは、社会的に見ても弱い立場にあるため、間違った選択や強制的に意図しない契約を交してしまう可能性があるので、法定代理人になる一般的な親が、あとからでも契約を認めなければ破棄することが出来ます。

そもそも、カードローンやキャッシングなど、様々なローンは成人になる20歳以上からが契約できる「年齢制限」を設けています。ですので、しっかり経営されている貸金業者や金融機関で、未成年がカードローンなどを契約することは出来ません。

未成年の契約を法定代理人が破棄できない理由

未成年者を守るための法律もありますが、未成年が交した契約でも、親が破棄できない場合もあります。

  • 婚姻されている未成年者
  • 法定代理人が同意した
  • 法定代理人が追認した
  • 未成年者が相手側を騙して契約をした

結婚している未成年者

未成年の18歳や19歳でも結婚は許されています。その未成年者が結婚している場合には、実際の親と言っても、不当な契約として認めないとされても、契約を取り消すことは出来ません。

民法第753条に、未成年が婚姻をする事により、成人とみなす成年擬制と言うものが書かれています。成人と判断されると、社会的に見ても責任を自ら負う必要が出てくることになります。

しかし、カードローンは成人であれば契約できるというわけではなく、上でも出てきました「年齢制限」が設けられているので、満20歳未満の成人擬制となっていても、契約は出来なくなっています。

カードローンとは別の話になりますが、成人擬制とみなされても、喫煙や飲酒は認められません。

法定代理人が同意した契約

未成年者が物を売る場合など、親の同意書や電話での同意を得るようになっています。私も昔にゲームを売る際には、親の同意書を持っていった経験がよくあります。

法定代理人である親が、一度同意してしまった契約を、後から破棄することは出来ません。

法定代理人が追認した契約

未成年者が過去に契約した内容を、取り消せる段階において、法定代理人が追認した契約内容は、後から契約破棄は出来ないようになっています。追認は難しい言葉ですが、過去の事実を見つめることです。

未成年者と契約した相手側は、契約を取り消される不確定な状態です。その状態を解放するためにも、未成年者が成人となった後や、法定代理人となる親に、契約を取り消しするかの催告状を送ることが出来ます。これは民法「第20条 制限行為能力者の相手方の催告権」に記されています。

催告状に対して認めれば追認したことになりますし、催告状に定められた一定期間内に返答がない場合でも、追認したことになります。

未成年が相手側を騙して契約した

お子さんが未成年で、契約するときに相手側に「年齢を成人と詐称」していたり、「親の同意を貰っている」と騙して、あたかも法定行為が出来るように見せかけて契約した場合は、その未成年の親でも契約を取り消すことは出来ません。

これは民法「第21条 制限行為能力者の詐術」にしっかり書かれています。

騙された相手側には落ち度はなく、騙した未成年者に責任があることになります。

しかし、カードローン会社など大きな企業となると、本人確認書類の提出が必要ですので、その時点で未成年者であることはバレることになるでしょう。

親の返済義務のまとめ

お子さんが成人していると、やはり自由に何事でも契約できてしまいます。しかし、そこで返済が出来ないと言っても、親には返済義務はありません。

しかし、親に返済義務がないからと言っても、やはり親が肩代わりするでしょう。目の届く範囲にいる場合には、何かしらの変化に気づくようした方が、親子関係の崩壊にはなりません。

逆に、親の借金は子どもに返済義務はあるの?

子どもではなく、親が作ってしまった大きな借金を、子どもが返済するというドラマなど、よく見る機会がありましたが、実際には子どもには返済するありません。

親の時と同様に、子どもが保証人や連帯保証人となっていれば話は別です。親が返せない状況や債権者から返済を求められれば、子どもでも返済しなければいけません。

親が借金を残したまま亡くなられることも多く、その場合の遺産相続は、プラスになる相続も借金などのマイナスの相続も受ける必要があります。

プラスだけ相続して、借金だけを放棄するということは出来ません。すべての遺産相続を放棄することは可能です。

もし、親からの不動産を手放したくないけど、借金もそれ以上に多いとなると、子どもが返済していかなければいけません。