お子さんがいる家庭であれば聞く機会があるのが「国の教育ローン」で、新規開業資金などを融資してくれる日本政策金融公庫が教育一般貸付として融資してくれる制度です。

この教育一般貸付(国の教育ローン)は、高校・高専・短大・大学から専門学校・予備校やデザイン学校など学校は幅広く、国内外問わず審査対象です。

さらに、使い道は入学金・授業料などから学生生活における定期代や、論文などの作成に使うパソコン代の購入費などにも使えます。

子どもにかかる教育費は、幼稚園から大学まで公立でなるべく低く抑えても「800万円」程度、私立などになると「2,000万円」の教育費がかかってくる計算になっています。さらに、大学が理系や医学系へ進むことになると、大学生活だけで「500万円〜2,000万円以上」の教育費を必要とします。

困る

国の教育ローンって聞く人によって、審査が「厳しい」「甘い」と分かれるけど審査基準はどうなの?


国の教育ローンでも審査に通る人もいれば通らない人もいるので、実際の審査は厳しいのか解説します。

国の教育ローンの審査は甘い?それとも厳しいの?

国が融資をすると聞くと非常に審査が厳しいイメージがありますが、審査基準はそれほど厳しくなく融資を必要とするお子さんがいる家庭で最低条件を満たしていれば通りやすく、国の教育ローンは比較的審査は甘いといえます。

なぜ審査が厳しくないと言えるかというと、次の2つの理由があります。

審査が厳しくない理由
  • 民間金融機関の補完機能の役割
  • 低収入の家庭には優遇措置がある
ハテナ

なぜ、上の2つの理由で審査が甘いって言えるの?

民間金融機関より審査基準が低いから審査は厳しくない

銀行や信用金庫など民間の金融機関の教育ローンは、借主の返済能力の高さがより高い方が審査に通りやすくなります。もちろん国の教育ローンも同じ。

しかし、国の教育ローンであれば審査に通る人もいます。なぜ審査に通るのか国の教育ローンを扱っている日本政策金融公庫の基本理念も見てみましょう。

国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ、社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施する。

民間金融機関の補完をすることが日本政策金融公庫の基本理念なので、民間が審査を通さないような世帯にも返済能力があれば、なるべく通す姿勢があるのが国の教育ローンです。

審査は甘いとは言い切れませんが、民間金融機関の教育ローンよりは審査基準は低いといえます。

低収入の家庭でも借りやすい優遇措置がある

低収入だと借りにくい教育ローンですが、日本政策金融公庫の国の教育ローンでは「世帯収入200万円以内」の家庭なども貸付対象で優遇措置もあります。

国の教育ローンの優遇措置
金利返済期間保証料
父子・母子家庭年1.31%最長18年通常の3分の2
交通遺児家庭通常の年1.71%最長18年通常の3分の2
扶養する子ども数3人で世帯収入500万円以内年1.31%最長18年通常
世帯収入200万円以内

返済能力が低いとされる家庭環境の優遇措置は、上の「金利」「返済期間」「保証料」で返済しやすい環境づくりが出来ています。

民間の教育ローンだと年収200万円で審査に通るのは難しい場合がほとんどなので、国の教育ローンの審査基準の低さが分かります。

審査自体は甘いわけではないと解説しましたが、国の教育ローンを借りないと十分な教育が出来ない家庭でも、最低条件さえクリアすれば審査に通る可能性はかなり高いです。

国の教育ローンに申し込む最低条件とは?

審査は厳しくない国の教育ローンですが最低条件を満たさないと審査に通るのは難しいです。

しかし、最低条件はとても明確な内容で、次の2つだけで十分審査に通ることが出来ます。

審査に通る最低条件
  • 申込年齢が満20歳以上
  • 安定した収入で返済能力がある

申込者が学生本人でも大丈夫ですが独立した生計を立てている必要があるので、申込者は6親等内の親族で満20歳以上であれば申し込めます。

安定した収入はカードローンでも最低条件ですが、審査基準は国の教育ローンが低いので返済能力があれば審査に通ります。

最低条件を満たしているのに審査に落ちる人の理由とは?

国の教育ローンの最低条件である「満20歳以上」「返済能力」を満たしているのに、審査で落ちてしまう人はいます。次の3つの理由が落ちる人の特徴です。

落ちる人の3つの理由
  • 世帯収入の制限を超えている
  • ブラックリスト入りしている
  • 毎月の返済金額が捻出できないと判断される

世帯収入の上限を超えているのは利用不可

解決

国の教育ローンを利用したいけど、夫婦共働きで収入も多いから絶対審査に通るよね


上のような思う申込者も多いですが、国の教育ローンには世帯収入の制限内でなければ申込できない制度です。

国の教育ローンの収入制限
扶養する子ども数世帯収入上限額事業所得の上限額
1人※790万円590万円
2人※890万円680万円
3人990万円770万円
4人1,090万円860万円
5人1,190万円960万円

※緩和条件を満たせば「世帯収入990万円(事業所得790万円)」まで緩和される

「収入も多いし返済能力もあるから良いじゃん」と思うでしょうが、「収入があれば民間の教育ローンや奨学金を利用すれば良い」という姿勢なのが国の教育ローン

民間の補完機能の役割なので民間が貸し出せない世帯を主な対象としているので、収入制限を超えている世帯は審査に落とされます。

しかし審査を諦めるのは早くて、扶養している子供が2人までであれば世帯収入の上限が緩くなり、審査に通る可能性もあります。

世帯収入が緩和される条件
  1. 勤続(営業)年数が3年未満
  2. 居住年数が1年未満
  3. 世帯のいずれかの方が自宅外通学(予定)者
  4. 借入申込人またはその配偶者が単身赴任
  5. 融資が海外留学資金
  6. 借入申込人の年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%超
  7. 親族などに「要介護(要支援)認定」を受けている方がおり、その介護に関する費用を負担
  8. 大規模な災害により被災された方

1~8のどの条件でも1つ当てはまれば良いので、収入制限が990万円(所得制限790万円)まで多くなります。

気づかない内にブラックリスト入りしている

ハテナ

世帯収入の上限を超えない十分な収入があるのに、審査に落とされたのはなぜ?


確かに収入制限を超えていないけど十分な収入があり、少しだけまとまったお金を借りたいと思う家庭もありますよね。

十分な返済能力があるにも関わらず、国の教育ローンに落とされる人は「ブラックリスト入り」を疑った方が良いです。

「ブラックリスト入りは何ぞや?」と思う人は別ページ「ブラックリストが原因で審査に通らないかも~いつ消えるの?カードローンが借りられない理由は何?」で詳しく解説していますが、簡単に言うと「返済が長期で遅れたり債務整理をして信用が落ちた人」のことを言います。

信用が落ちているのが日本政策金融公庫に分かる理由は「KSC(銀行系)」「CIC(クレジット系・消費者金融系)」の2つの信用情報機関に加盟し、審査で過去の異動情報を照合しているからです。

信用が落ちている人にお金を貸したくないと思うのは個人でも日本政策金融公庫でも同じなので、ブラックリスト入りしている申込者は審査に落とされます。

長期延滞はスマホ本体代の分割の支払いの遅れも対象なので、61日以上や3ヶ月以上の遅れがあれば異動情報が知らない間に記録されます。

ブラックリストは5年~10年は消えない(異動情報によって違う)ので、現在の収入があっても国の教育ローンは借りられません。

返済負担率が高く審査に通らない可能性もある

解決

住宅ローンやカードローンの返済もしてるけど、まだまだ返済できるお金はあるはず


生活を切り詰めて返済に回すお金を工面されている家庭も多いですが、国の教育ローンも返済出来ない家庭には審査は通さないです。

まだまだ返済できると思っていても、国の教育ローンを借りて毎月の返済額は増えるのは確実なので、収入に対して返済額がどれぐらいなるのかという「返済負担率」が重要になります。

国の教育ローン用 返済シミュレーション|日本政策金融公庫」で毎月の返済額を算出出来ますが、借入額150万円で3年間で完済すると1年間の返済額は「527,600円」になります。

もし年収が450万円で住宅ローンの返済が1年間で100万円あると、下の返済負担率が計算できます。

返済負担率

527,600円(国の教育ローン)+100万円(住宅ローン)÷450万円(年収)×100=33.9%

返済負担率が30%を超えてくると審査は厳しくなるので、返済負担率を下げるために返済期間を長くすると負担率は下げられます。

例えば上の同じ借入額でも返済期間を倍にした6年間で返済シミュレーションすると、返済負担率は28.1%まで下げることが出来るので審査に通る可能性が高くなるはずです。

必ず申込前には国の教育ローンの返済シミュレーションをするようにしてください。

国の教育ローンが借りれない場合の対処法

何度も出てきましたが、国の教育ローンでも必ず審査に通るとは限らず、審査基準に満たさない人は審査に落ちます。

審査に落とされてからでも良いですが、審査に落とされる前からいくつか借入先を考えて対処法の準備をしている方が良いです。

審査に通らない時の対処法
  • 民間の教育ローンを検討
  • 学校提携の教育ローンを検討
  • 奨学金を検討
  • 教育支援資金を検討
  • 返済能力の高い親族に頼む

民間金融機関の教育ローンを申し込む

民間の教育ローンは審査基準が高い傾向ですが、世帯収入の上限を超えて審査に落ちた人であれば十分申し込む価値はあります。さらに、国の教育ローンとは審査基準は違うので、国の教育ローンを落ちた人でも通る可能性は残されています。

あと、地方銀行や信用金庫、JAバンクなど地域に密着した金融機関の教育ローンも魅力的です。

同一地域内の申込者に対して積極的に融資する姿勢もあるので、ぜひ検討したい民間の教育ローンです。

進学先の学校提携教育ローンを申し込む

進学先のホームページやパンフレットを見ると、「提携教育ローン」を目にする場合が多いと思います。

学校提携教育ローンは審査時間が非常に早いので、お金が必要になってからでも申し込めるのでおすすめです。

学生君学生君

通学費用や生活費に使いたいから使っても良いよね?


一般的な教育ローンは教育に関するすべての費用に利用できますが、提携教育ローンは学校指定口座に振り込まれ、学生や家族の口座に振り込まれることはないので、学校以外に支払う教育費には使えないデメリットがあります。

民間の教育ローンより低金利で借りやすい提携教育ローンですが、デメリットが我慢できる家庭であれば検討しても良いと思います。

JASSOや育英会などの奨学金制度を利用する

奨学金はお金が原因で進学を諦めなければいけない学生を援助する制度で、学生本人が借りるので保護者がブラックリスト入りしていても借りやすい制度です。審査も比較的通りやすいメリットがあります。

奨学金の種類
  • 日本学生支援機構「JASSO
  • 大学独自の奨学金
  • 地方自治体の奨学金
  • 民間の奨学金

奨学金は利用しやすいですが、JASSOの無利子の奨学金は平均値3.5以上の学力が必要で有利子でも一定以上の学力が必要になります。大学独自の奨学金も同じで学力が上位にある学生に限られるケースがあります。

地方自治体の奨学金はその地域に在住している学生であれば借りやすい奨学金です。

上の3つは給与型もありますが貸付型で紹介した奨学金で、卒業後に多くの返済額で悩むケースが多いです。

民間の奨学金には「新聞奨学生」があり、折り込み作業や新聞配達、集金などの作業を行いながら学費などのお金を立て替えてくれる奨学制度です。

立て替えてくれた費用は無事に卒業すればほとんどが返済免除出来ますが、働いている在学中はかなり苦労する面があります。

奨学金制度は保証人と連帯保証人の2人を立てる必要があり、親がブラックリスト入りしていると違う親族に頼む必要があり、少しハードルが高いケースもあるので注意して下さい。

生活福祉資金貸付制度の「教育支援資金」を利用する

都道府県の各市町村にある社会福祉協議会で申し込める「教育支援資金」は、低所得者世帯障害世帯など民間が貸付できない世帯も融資対象の制度です。少し国の教育ローンにも似ていますね。

国の教育ローンの審査を落ちてしまった人でも借りられる可能性が高く、連帯保証人も必要なく無利子なのでとても魅力的な融資なので検討するのも良いでしょう。

しかし、貸付対象になるのはかなり狭く初めから申し込める人は少ないです。さらに、提出する書類も多くて民生委員が自宅へ訪問するなどかなりハードルは高い融資ともいえます。

学費以外を借りるならカードローンを検討しよう

国の教育ローンは使い道は幅広いですが、やはり教育以外にかかる費用には使うことは出来ません。なので、使い道が自由なカードローンで学費以外の費用を借りる必要があります。

高額で低金利で借りたいなら銀行カードローン

教育関連に費用でも学校に直接払う費用以外は認めない教育ローンもあり、学校以外の教材費や交通費などかなり費用が必要になるケースもあります。

教育ローンで認められない高額費用を借りたい場合は、銀行カードローンがおすすめです。初回で契約限度額が比較的高くまで借りれるのも銀行カードローンです。

国の教育ローンよりは金利は高くなりますが、消費者金融よりは金利も低い銀行カードローンなので長期借入でも利息を抑えやすいです。

即日融資と短期借り入れで利息をゼロにするなら消費者金融がおすすめ

国の教育ローンは審査結果が分かるのに10日間ほど、さらに口座にお金が振込されるまで10日間必要なので、約20日ぐらいは融資までに期間がかかります。

すぐに借りられる学校提携教育ローンもありますが、学校に振込される学費でしか利用できません。

なので、すぐに現金が必要で学校以外で必要になる学費を借りる場合は消費者金融がおすすめです。即日融資ができるカードローンで審査はそれほど厳しくないです。

即日融資で借りられる消費者金融ですが、金利が高いカードローンなので長期借り入れには向いていないです。

短期で返済できる目途があるのが分かっている場合は、消費者金融の無利息期間サービスを利用すれば利息を少なくすることが可能で、期間内に完済すれば金利ゼロにするのも可能です。

まとめ

国の教育ローンは金利が低く世帯収入が少ない世帯でも借りやすい融資制度なので、子どもに学業に専念させてあげたい親御さんは検討すると良い教育ローンです。

最低限の返済能力でブラックリストになっていなければ、非常に高い審査通過率があるので悲観的にならなくても良いといえます。

お金を借りることを悪いことと考える人もいますが、必要なお金で返済できる安定した収入があれば、ぜひ借りた方が出来ない勉強も出来るのでおすすめです。