「大きな限度額で借りたい」と思う方は多く、「いくらまで消費者金融で借りられるのか?」という疑問を持つ方もいます。
消費者金融が無尽蔵にお金を貸してはくれませんので、キャッシング出来る金額には上限があります。
上限の限度額の決め方は、カードローンごとの限度額ではなく、申込者の年収に合わせて決められる「総量規制」が、とても重要になる法律になります。
総量規制が分からない方でも、どれぐらい借りられるのか解説していきたいと思います。
総量規制とは〜年収の3分の1以上は借りられない
総量規制とは、「年収の3分の1を超えるお金を貸してはならない」という法律です。
例えば年収300万円の方は、総量規制によって100万円までしか借入が出来ないことになります。
総量規制という名前で、皆さんも見たり聞かれたりしているはずですが、総量規制というのは俗称であり、正式名称は貸金業法 13条の2「過剰貸付け等の禁止」となっています。しかし、消費者金融や情報サイトでも総量規制で書いていますので、いちいち覚える必要はありません。
総量規制には貸付できる上限を決めるだけでなく、他にもルールが決められています。
- 個人の借入
- 年収の3分の1は総借入額
- 収入証明書の提出
ざっくり年収の3分の1までしか借りれないと覚えていても良いですが、「なぜ今借りれないの?」という場面になってしまう方も多いので、上記の3点を分かっていると、より注意して借りやすくなります。
「個人の借入」だけが対象
総量規制で対象になるのは、「個人向けの貸付」となっているので、利用者から見ると借入となります。カードローンは個人向け無担保融資というものですので、総量規制の対象になるわけです。
あと、個人向け保証という借金もありますが、いわゆる誰かの連帯保証人になる借金です。
個人向け保証は総量規制の対象外になるので、多くの借金をしていても、友人の連帯保証人になることも可能です。
しかし、貸付を行う金融機関も保証人の審査も行うので、多くの借入があれば保証人の審査は通りません。あと、連帯保証人になることも危険ですので、十分に考えることをオススメします。
あと、クレジットカードで買い物した時に利用するショッピング枠は対象外になります。
後払いするので借入のように思うかもしれませんが、代金の立て替えなので借入にはならず、適用される法律も貸金業法ではなく、割賦販売法です。
分割払いで残金が十数回と残っていても、借金とはなりません。
しかし、クレジットカードのキャッシング機能は「個人向けの貸付」になるので、総量規制の対象になります。
借入総額が年収の3分の1まで
総量規制のことを、1社ごとの借入が年収の3分の1までと勘違いされる方もいますが、間違いです。
複数の借入先がある場合、すべての貸金業者の借入の合計金額が、年収の3分の1までしか借りることが出来ないのが総量規制になります。
総量規制が書かれている貸金業法は、貸金業者に適用される法律で、「貸付を生業(なりわい)」とする大手消費者金融や信販会社になります。
- プロミス
- アコム
- アイフル
- SMBCモビット
- レイク
- 三井住友カード
- セゾンファンデックス
大手だけが対象ではなく、中小消費者金融ももちろん対象になり、ダイレクトワンやベルーナノーティスなどの地方やネット専業の消費者金融もあります。
年収300万円の総量規制は100万円までなので、すでに2社の貸金業者から30万円と50万円の借入をしていると、他の貸金業者からは、あと20万円しか借入出来なくなっています。
「収入証明書の提出」〜返済能力の調査
総量規制と同じ貸金業法13条「返済能力の調査」に出てくる「収入証明書の提出」は、貸金業者からお金を借りる場合には重要なものになります。
貸金業法の返済能力の調査は、貸金業者が申込者の現在の返済能力を、十分に調査しなければいけない決まりになっています。これも過剰貸付が起こらないようにするためです。
ですので、申込者が十分な収入があり、一定額以上の限度額を希望した場合は、収入証明書を提出するように決められています。
- 希望限度額が50万円を超える場合
- 他社の借入残高と新たに契約する限度額の合計が100万円を超える場合
年収の3分の1に達していない場合でも、1社で50万円や複数社で100万円を超えてしまう貸付は、貸金業者に対して、収入証明書を提出しまければいけません。
しかし、提出する申込内容に怪しい部分があったりすると、収入証明書を提出する金額に達していない場合でも、貸金業者の判断で提出を求められる場合もあることは、頭の何処かに入れておきましょう。
収入証明書となる主な書類とは?
総量規制だけでなく条件を満たせば提出する必要のある収入証明書ですので、あらかじめ用意している方が良いです。
- 源泉徴収票
- 確定申告書
- 給与明細書
- 納税証明書
- 住民税決定通知書
会社に勤めている方であれば、一番馴染み深い収入証明書になるのが「源泉徴収票」があります。
源泉徴収票であれば1枚で収入証明書となりますが、それ以外に給与明細書であれば、直近2ヶ月~3ヶ月分を用意しなければいけません。ですので、カードローンが必要になってから書類を用意しても遅いかもしれません。
事業されている個人事業主の方の場合、会社からの源泉徴収票や給与明細書の発行がないので、「確定申告書」や「納税証明書」などの提出が必要になります。
いつから総量規制は始まったのか?導入されたのはナゼ?
総量規制というのは、大昔からある法律ではなく、2010年6月18日に完全施行され導入された法律になっています。貸金業法改正は総量規制だけではありません。
- 貸金業者への規制強化
- 過剰貸付抑制
- 上限金利の引き下げ
- 闇金業者への対策強化
上の4つの項目を柱に、貸金業への事細かな決まりが整備されていきました。過剰貸付の抑制という中に総量規制という決まりがあると、考えると簡単です。
改正前には、総量規制という借入額を抑える法律が無かったため、返済能力以上に借り入れをしてしまうケースも多くありました。
特に、バブル崩壊後に、企業向けへの貸付は悪くなりましたが、個人向けのローンの貸付が伸びて、個人への過剰貸付が増え、多重債務を抱えてしまい社会問題となっていました。
返済能力を超えてしまうような過剰な貸付が発生しないように、総量規制という「年収3分の1」という決まりが出来たわけです。
総量規制は例外と除外がある〜銀行は対象外
お金を借りる時に、すべての借入が総量規制の対象になるというわけではありません。
- 銀行や信用金庫など金融機関からの借入
- 法人向け融資
法人向け融資は、大きな事業をする時に総量規制が適用されてしまうと、上手く事業が回らなくなってしまうので、総量規制の対象外になります。
あと、個人の借入であっても、貸し手側が銀行などの金融機関である場合は、総量規制の対象外になっています。
銀行のカードローンだけでなく、住宅ローンやカーローンなども対象外です。
銀行は、貸金業者のように貸付だけを生業としていませんので、貸金業法ではなく銀行法が適用されるようになっています。
しかし、貸金業者からの個人の借入すべてが、総量規制の対象というわけではなく、個人の借入でも総量規制の「除外」「例外」という決まりがあり、年収3分の1を超える借り入れも出来るようになっています。
総量規制の除外になる貸付とは
- 土地・マイホームの不動産購入や改修資金の貸付(つなぎ融資も含む)
- 自動車購入時の自動車担保貸付
- 高額医療費の貸付
- 金融商品取引業者が行う500万円超の貸付
- 手形の割引(融資手形を除く)
- 不動産担保貸付
- 有価証券担保貸付
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
- NPOバンクからの貸付
総量規制の除外項目は、上記の内容になります。
皆さんが馴染み深い借入もあるでしょうが、あまり聞かれた事がない貸付もあります。
「住宅ローン」や「高額医療費」が除外される理由
個人でも総量規制の除外の恩恵を受けることが多いのが、住宅ローンやマイカーローン、あとは高額医療費などでしょう。
土地を購入したり、その土地に家を建てたりするときに、お金を借りる場合には、総量規制の除外になっています。
土地や家を購入する場合は、多くの資金を用意しなければダメなケースがほとんどで、その額は数千万円以上にもなります。
高額な資金が必要なのに、年収は400万円や500万円ほどで総量規制の対象となってしまうと、ほとんどの方が住宅ローンなどの借入が出来なくなってしまいますよね。
そのため、総量規制から除外されているわけです。これは、車を購入する場合にも同様のことが言えます。
あと、馴染み深い方も多いかも知れないのが「高額医療費の貸付」になっていますが、「何それ?」と疑問に思う方もいるはずです。
小さな病気や怪我であれば、病院窓口で支払う金額は3割負担で済むので、それほど大きな金額にはなりにくいので良いですが、大きな病気や怪我になってしまうと、そうはいきません。
3割負担といっても、医療費が100万円かかってしまうと、窓口支払いは30万円となってしまいます。ここで高額医療制度を使えば、70歳未満一般の方であれば、9万円程度の支払いで済むように、それ以上の金額は払い戻されるようになっています。
しかし、高額医療制度で払い戻される期間は3ヶ月程度かかってしまい、次の収入がある時までの生活が困窮してしまう場合があり、その時に活用する貸付である「高額医療貸付制度」は総量規制の除外になっています。
そもそも総量規制ギリギリの借入をしている方が、高額な医療を支払いすることが出来ないのに、総量規制の対象となってしまっていては、すごく支障をきたしてしまうためです。
総量規制の例外になる貸付とは
- 顧客に一方的に有利になる借り換え
- 緊急での医療費の貸付
- 社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付
- 配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付
(配偶者貸付) - 個人事業者に対する貸付
除外だけでなく例外と言うものが総量規制にはあり、皆さんも例外に該当する借り入れをされることがあると思います。
総量規制ギリギリで借り入れされていても、どうしても病気などで急遽借り入れしなければダメな時には、例外措置としてか貸金業者から借入できるということになります。
あと緊急性のある貸付として「社会通念上緊急に必要な費用」とありますが、自然災害や葬儀費用などの突発的に予測できない事態が起きた時に、必要になる費用は借り入れ出来ることになっています。
「借り換えローン」「おまとめローン」は例外
総量規制の例外で代表的なものとして、おまとめローンや借り換えローンといったローン商品です。
なぜ、借り換えローンなどが総量規制の例外になるかと言うと、「顧客に一方的に有利になる」という初めの貸付に該当するからです。
一般的に、複数社に借り入れが分散していると、1社ごとの借入金額は少なくなっていることが通常です。さらに、借入額が少ないと言うことは、金利が高い上限金利で契約します。
「借入総額は多く、金利は高い」というのはローンで一番最悪な状態にあると言えますが、それを1社にまとめると言うことは、借入総額は変わりませんが、1社の借入額は大きくなり、金利は低くなるのが通常です。
これが、金利自体が下がり利息が少なくなることで、最終的な元金と利息を合わせた総支払額が少なくなるので、債務者の一方的に有利になる借入になるので、総量規制の例外になります。
消費者金融は総量規制の対象となりますが、おまとめローンが目的の貸付なら、消費者金融でも融資が出来るので、プロミス、アコム、アイフルでも貸金業法に基づく貸付として大まとめローンをローン商品としています。
総量規制の除外と例外には違いがある
総量規制の除外と例外は一緒と思われる方もいますが、全く違いものですので注意してください。
- 除外:貸付残高に含まれずに貸付が行われる
- 例外:総量規制の対象であり、貸付残高に算出されるが例外的に貸付を行われる
「除外」は、総量規制の除外として貸付けされる場合は、総量規制の貸付残高に計算されません。
そもそも総量規制の対象から外れており、除外の貸付けが行われた後でも、総量規制対象の貸付けも出来ます。
「例外」とは、例外として貸付けを行う際に、例外的に、年収の3分の1を超える場合でも、返済能力があると貸付が行えるということです。
ですが、貸付自体は総量規制の対象となり、貸付残高に合算され、今後の総量規制対象の貸付は出来ない。
例えば、今までにカードローンなど総量規制の対象となる借入をされたことがない「年収300万円」の方が、住宅ローン2,000万円を借りたとします。
その住宅ローンが、もし総量規制の除外ではなく例外となっていると、総量規制の対象であることになるので、次にカードローンなどで10万円でも借りようとしても、年収の3分の1以上は超えている状態ですので、カードローンなど契約することは出来ません。
総量規制の例外で借りたお金は、常に総量規制の対象になっているので、常に年収の3分の1の範囲内でしか借り入れが出来ないわけです。
ですので、例外で借りれたお金にも関わらず、それ以降に総量規制対象のローンを借りようとしても無理になっていますので、注意してください。
難しい説明になってしまいましたが、かなり簡単に書くと、「除外」は総量規制と関係がなく借りれて、「例外」は総量規制の対象であるが、特別貸付が行えるというものです。
総量規制を超える借入はどうなるの?罰則は?
カードローンの審査に通りたいと思うのが普通で、さらに大きな限度額をなるべく契約したいと思います。その為に、自分の年収を偽って虚偽の年収を報告してしまう方もいます。
例えば、100万円の限度額を契約したい場合、最低でも300万円の年収がなければ貸金業者で契約する事は出来ません。しかし、200万円程度の年収がないのにも関わらず、300万円以上で余裕のある年収を記入してしまうというものです。
「それぐらいバレないでしょう」と考えるかもしれませんが、そもそも限度額が50万円超を希望する場合は、収入証明書の提出が必ず必要になります。この時点で200万円の年収がすぐにバレてしまうことになります。
年収が下がってしまうと総量規制の違反になる?
カードローンを初めて契約した時は、総量規制の年収3分の1以上の収入があった方でも、転職をされたり会社によって、年収が以前より下がってしまう場合もあります。
契約後に年収が下がってしまうと、総量規制に抵触してしまう場合がありますが、契約者が違法行為をしているわけではないので、罪に問われることはありません。
しかし、限度額に余裕がある状態でも、年収の3分の1以上の借入を新たに行えないことになるのが一般的です。
返済を進めていく事で、最終的に限度額を減額されることになり、また新たにカードローンで借り入れが行えるようになるわけです。
総量規制対象外の銀行カードローンも厳しくなっている
上でも解説したように、銀行カードローンは貸金業法が適用されませんので、総量規制の対象外であるので、年収3分の1以上の借入も出来るようになっています。
ですので、収入証明書の提出も、法律で50万円や100万円と明確に決まっているわけではありません。
収入証明書の提出も、以前では100万円~300万円以上の限度額にならないと、提出は求められないケースが多くありました。ですので、あまり収入証明書の提出が必要になるケースは少なかったです。
商品名 | 収入証明書 |
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三井住友銀行 | 50万円超 |
みずほ銀行 | 50万円超 |
スルガ銀行 | 50万円超 |
住信SBIネット銀行「Mr.カードローン」 | 50万円超 |
しかし、2017年の銀行カードローンの過剰貸付が社会問題となり、規制強化の流れが激しくなりました。
現在は決まりはありませんが、消費者金融と同様の50万円超で収入証明書の提出を求める金融機関が当たり前です。
大きな限度額を契約しやすかった銀行カードローンですが、最近では大きな限度額の審査に通りづらくなっています。